英訳はネイティブか日本人か

英訳となると、日本人による英訳と英語のネイティブスピーカーによる英訳とどちらが良いかと迷われる方もいらっしゃると思います。

単に英語を書くということを考えれば、当然自然な英語を書けるのはネイティブです。ただ、ここではあくまでも日本語で書かれた原文を英語に翻訳することなので、原文を正しく理解するだけの日本語力が求められます。自然で正確な英語で書かれた文章でも、原文と内容が異なっていれば、それは翻訳ではありません。ネイティブによる翻訳の場合、原文の中に分かり難い日本語がある場合、その部分を省いて翻訳を完成させてしまうこともあると言われています。

翻訳が欧米言語の組み合わせ、例えば、フランス語から英語、ドイツ語から英語の場合、翻訳業界では英語のネイティブが翻訳するというのが基本的なルールになっています。これは英語のネイティブにとって母国語との共通点が多いフランス語やドイツ語を正確に理解することが日本語ほど難しくないからでしょう。英語を母国語とする人にとって日本語を習得するのはフランス語やドイツ語の習得より、何倍も難しく、まして日本語から英語への翻訳が可能なレベルの日本語力を持ち合わせた人材は、希少です。原文の日本語が必ずしも正しい日本語、分かりやすい日本語であるとは限らないため、日本語の行間を読む深い理解力と洞察力も求められます。そんな能力を備えた優秀なネイティブによる英訳は、当然料金も高くなりますし、圧倒的に数が少ないのが現状です。

こういった背景から、翻訳業界では英訳は日本人翻訳者が中心になっています。私も今までの翻訳経歴で数多くの英訳を手掛けてきました。その中で、出来るだけ自然な英語による英訳を身につけてきているつもりです。ただ、翻訳文書の使用目的によっては、英語のネイティブスピーカーに訳文を一度見ていただき、英語による自然さの最終確認をする必要があると考えております。そのため、ネイティブチェックを採用しております。これにより、更に品質の高い翻訳の提供が可能となります。